未完成の日々

-まだ知らないことばかり-

小説『きみを殺すための5つのテスト』 感想

台風の日は読書日和ですね佐倉です。

 

きみを殺すための5つのテストを読みました。

 

 

主人公の渡会流空(わたらいりく)は女の子にモテて恋人はできるし彼なりに恋愛生活はしているものの、流空自身はどこか冷めていて来るもの拒まず去る者追わずといった感じでそれが原因でよくフラれるような男です。

ある時同じ大学の女子生徒小夜に出会い、話したこともないのに何故か睨まれたり避けられたことを始め、他にも色々と変わっている彼女に惹かれていきます。

 

流空は写真が撮るのが趣味で大学の写真学科に所属しているもののやりたいことや夢はこれといってなく、冷めている自分のことを自覚していて夢を持った他の学生たちのことを羨ましく思っているような人なので、三人称主人公視点のこの小説では地の文からもそういう流空の無気力さというか、淡泊さが感じられるんですが、小夜に対する感情が単なる興味から恋愛感情に変わりそれを自覚してからは、すごく変わるんですよ。

ずっと小夜かわいいかわいい言ってるみたいな。

地の文からもその変化がよくわかって、こっちも楽しくなってきますね。

 

色々あって段々小夜とも打ち解けていってついに告白をしようとしたとき、それは遮られて「誕生日まで待って」と言われてしまい、よくわからないまでも了承をするのですがそのあとの会話でさりげなく好きという言葉を入れて、何気ない会話として成立させた時の

 

小さく混ぜた『好き』を受け取ってもらえたことに、流空はひとり満足していた。

 

っていう一文がとてもかわいくて綺麗で好きです。

私は小説だと大体ミステリーが中心で、恋愛小説って読まないんですが流空の変化やこういったやりとりをすごく楽しめたので、恋愛小説もいけるかもしれないなと思いました。笑

 

 

 

 

 

ここからややネタバレです。

自分の記憶がごっそりなくなって生きていくことになるかもしれないっていうのは本当に怖いと思います。

今の自分じゃなくなってしまうと思うのも仕方ないですね。覚えてることも多少はあっても、以前の小夜はもういないんだなと思ってしまいます。

それでもやっぱり、エトのことを覚えていたのは嬉しかったし、その記憶があるなら手術前の小夜とは完全に別人ともいえなくて、なんだか難しいですが、きっと手術直前の小夜はエトのこと覚えてなさそうだったので、もし段々と記憶が呼び起こされて繋がっていったなら元の鷲尾小夜も生き返ることができるのかなと思います。

完全に戻らないならやっぱり過去の小夜は消えてしまったように私は感じてしまいますが、小夜がDear myselfを残したのはそれでも流空と一緒にいたからだと思うので、また以前の小夜とのように沢山思い出を作っていけたらいいなと思いました。

 

すごく余談ですが作者の狐塚冬里さんどこかで名前を聞いたような…と思ったら歪みの国のアリスのノベライズを書かれた方なんですね!

歪アリはホラーゲームですがこちらのゲームと小説の紹介もそのうちしたいと思います。

 

それではまた~